ダイオードの種類について
以下に、弊社が提供するダイオードの種類を示します。ここではダイオードの種類ごとに、用途や特長を説明します。
分類 | 種類 | 製品一覧 |
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PN 接合 | 一般整流ダイオード | URL |
高速整流ダイオード | URL | |
高圧整流ダイオード | URL | |
スナバ専用ダイオード | URL | |
TVSダイオード | URL | |
オルタネータ用ダイオード | URL | |
ショットキ接合 | ショットキダイオード | URL |
一般整流ダイオード
商用電源(50 Hz / 60 Hz)の整流や、逆接続保護回路に使用されます。耐圧が高いのが特長です。
高速整流ダイオード
高速整流ダイオード(FRD:Fast Recovery Diode)はスイッチング電源等の高周波(数十kHz~数百kHz)の整流に使用されます。一般整流ダイオードに比べ、逆方向回復時間trrが短いのが特徴です。一般整流ダイオードのtrrが数μs~数十μsであるのに対し、FRDのtrrは数十ns~数百nsです。
FRDの逆方向回復時間trrが短い理由は、接合部付近にキャリアトラップを設けているからです。以下に示すように、N層まで侵入した正孔がP層に移動しようとしたとき、N層のキャリアトラップで正孔を捕まえ、正孔を素早く消滅させることでtrrを短くします。
しかし、trrと順方向降下電圧VFにはトレードオフの関係があり、trrを短くするためにキャリアトラップを設けると、VFが高くなってしまいます。逆にVFを低くしようとするとtrrが長くなります。
またFRDのリカバリ電流は、電力損失の原因になるため、リカバリ電流のピーク値は小さい方が望ましいです。また、リカバリ電流が急激に収束してリンギングが発生すると、ノイズの原因になります。すなわち、リカバリ電流が小さく、ゆるやかに回復するFRDほど特性が良いとされます。
高圧整流ダイオード
民生用の高圧整流ダイオードは、電子レンジのインバータ回路や高圧回路などに使用されます。車載用の高圧整流ダイオードは、燃料噴射機構の点火コイルなどに使用されます。
スナバ専用ダイオード
フライバック型スイッチング電源の一次側クランプスナバ回路専用の補助スイッチダイオードです。パワーMOSFETがオフしたときに発生するリンギングを低減します。スイッチング電源の効率向上、ノイズ低減に貢献します。
オルタネータ用ダイオード
オルタネータ用ダイオードは、車載エンジンルーム内の過酷な環境にも対応できる優れた特性を有しています。面実装タイプとプレスフィットタイプがあります。
TVSダイオード
TVS(Transient Voltage Suppressor)ダイオードは、過電流、過電圧、サージ等から回路や素子を保護するために使用します。TVSダイオードはブレークダウン時、流れる電流にかかわらず逆方向電圧がほぼ一定になります。TVSダイオードはこの逆方向の特性を利用して、回路や素子を保護します。
ショットキダイオード
ショットキダイオードは、ショットキ接合によって生じる障壁を利用したダイオードです。ショットキダイオードはPN接合のダイオードと比べ順方向降下電圧VFが低く、逆方向回復時間trrが短いため、高速スイッチングに適しています。またtrrには温度依存性がなく、どの温度でもtrrは同じになります。
しかし、ショットキダイオードはPN接合のダイオードと比べ逆方向漏れ電流IRが大きく、電力損失(IR × VR)も大きくなります。また、高温になるほど電力損失が増大するため、熱暴走を起こさないように放熱設計をする必要があります。
ショットキダイオードの耐圧はPN接合のダイオードに比べて低く、高耐圧にすることは難しいとされています(一般的に150 Vまで)。以下に示すように、N−層を厚くし、キャリア濃度を低くすれば耐圧は上がります。しかし、抵抗値が上がりVFも高くなるため、損失が大きくなり実用の範囲外の性能になってしまいます。弊社では次世代パワー半導体SiCを使用した、高耐圧で実用性のあるSiCショットキダイオードを開発しています。
ショットキ障壁の高さは半導体に接続する金属の種類によって異なります。また、金属の種類により電気的特性が異なります。以下に示すように、金属の種類により、順方向降下電圧VFと逆方向漏れ電流IRはトレードオフの関係があります。狙いの特性に合わせて金属を選定します。
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