サンケン技報

サンケン技報は、省エネルギー社会を支えるサンケングループの最新技術や製品を紹介する技術論文です。
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2018年11月号(vol.50)

No. 論文 著者
1 革新的なモータ制御:BLDCモータ駆動技術の新たな基準を打ち立てる
Innovative Motor Control: Setting a New Standard for BLDC Motor Drive Technology
Daniel Jacques
Yisong Lu
ブラシレスDC(BLDC)モータ制御は、あらゆる市場にわたって注目を集めてきており、DCおよびステッパモータに取って代わってきている。 主要な牽引役は、高効率および低ノイズに対する需要である。つい10 年前には、高性能を必要とするシステムにおいて使用されたBLDCモータは、 高効率で、静音の整流を実現するために、ソフトウェアベースのマイクロコントローラも必要とした。 今日、アレグロは、マイクロコントローラまたはカスタムソフトウェアなしで低ノイズおよび高効率な駆動をもたらす、埋め込み整流によるソリューションを提供する。 アレグロのセンサレス正弦波BLDCモータドライバは、静音で高効率な駆動における新たな基準を打ち立て、プログラミングを必要としない、 簡易な単一パッケージソリューションを提供する。
2 デジタル制御による高効率力率改善回路の開発 大竹 修
吉永 充達
朴 修慶
趙 湘熙
近年、IoT機器やサーバー電源、民生・産業機器用途など、高出力電源の需要が大きく伸びると予測される中で、さらなる高効率化の要求が高まっている。 これらに対して、当社ではブリッジレスPFC制御と全波電流共振電源制御を1 パッケージで制御可能な、デジタル電源IC「MD6751」を開発した。 基本制御はADコンバータとMCUを用いた数値演算によるフルデジタル制御により、各負荷条件/入力条件において最適な制御を行うことで、力率改善回路の高効率化を可能にした。 また、全波電流共振制御はPFCと協調制御を行うことで、周辺部品と基板面積削減により電源小型化が可能となった。
3 SiC-MOSFETの開発 熊倉 弘道
馬場 良平
当社は、昨今のエコ・省エネの要求の高まりから、従来のSi デバイスでは実現が難しいソリューションを可能にするために、 材料物性に優れた化合物半導体材料SiC、GaNを用いたパワーデバイスの開発を進めている。 SiCデバイスのアプリケーションは、耐圧領域600V以上の民生/産業/車載用途の電源やインバータなどが見込まれており、 SiC SBDはすでに普及段階に移行し、当社も製品化を行っている。 一方で、スイッチング素子はこれから本格普及が始まろうとしており、我々はトレンチ型SiC-MOSFETを開発したので素子特性および信頼性について報告する。 今後の開発世代における技術改善と性能向上の見通しについても紹介する。
4 次世代高耐圧(1200V)BCD プロセスの開発 藤田 直人
青木 宏憲
当社初となる1200V高耐圧BCDプロセスであるSG7UHVプロセスを開発した。 当社では現在900Vまでの高耐圧BCDプロセスをリリースしており、最新のプロセスはデザインルール0.25μmの900V第7世代BCDプロセス(SG7HVプロセス)となっている。 今回開発したプロセスは現有のSG7HVプロセスをベースに回路、設計資産を共通化するべく、高耐圧デバイス以外の素子特性に影響を与えずに最小限の変更によって1200V化を実現した。 本稿ではベースとなったSG7HVプロセスを紹介するとともに、高耐圧デバイスの1200V化の手法について報告する。
5 LIN 通信機能付き汎用オルタネータ用レギュレータIC:AR3004 松本 行
近年、CAN、LIN、FlexRayなど、自動車の高機能化を支える車載ネットワークは、自動車に搭載される様々な装置に、さらには部品レベルにまで広く浸透してきている。 当社で製造する車載ネットワークICは、主にカスタムICとして開発を行ってきたが、今回、汎用ICとしてLIN規格に準拠したオルタネータレギュレータIC:AR3004を開発したので報告する。 開発したICはLIN通信を用いて緻密な発電制御を行うための様々な出力制御機能、モニター機能を有しており、これらを使用することで様々な仕様のオルタネータを 自由に制御することが可能となっている。
6 イグナイタ用IGBT DGUシリーズの開発 青木 達朗
自動車の排ガス規制、燃費向上への対応としてカーエレクトロニクス化が拡大し、エンジンの点火プラグを駆動するイグナイタにもトランジスタが用いられるようになった。 当社のディスクリート製品ではこれまでに2 輪向けのイグナイタ用バイポーラトランジスタ、IGBTのラインナップは存在したが4 輪向けは性能面で参入できていなかった。 4輪向けでは2輪向けと比べて高耐圧、高電流駆動、小型化のIGBTが要求されており、これらの要求に応える形で低飽和電圧、高エネルギー耐量のIGBTであるDGUシリーズの開発を行った。 市場の要求によりコレクタ- ゲート間クランプ電圧が400VのDGU4020GRと、450VのDGU4520GRの2 品種をラインアップした。
7 個片チップ大電流メジャーを適用したKGD製品の開発 坂口 隆俊
自動車市場における電動化への著しい変遷により、電子部品の需要増加とあらゆる電力帯への幅広い展開が求められている。 特に大電流領域の電子部品の開発トレンドとしては、パッケージ製品を並べるよりもさらに小型化が期待できるモジュールへの取り込みや、 基板へ直接実装する顧客固有の機電一体型モジュールが目を見張る。 この領域をターゲットとしたパワー半導体チップの提供を狙うため、シリコンチップ状態(ベアチップ)で品質を担保するKGD(Known Good Die)対応のパワーMOSFET製品を開発した。 パッケージ製品と同等の工程構築の実現、新技術の確立について結果を報告する。
8 低ノイズFRD FMXR-1206Sの開発 南野 洋平
白物家電の電源部に搭載されているPFC回路での高周波整流において、既存のFRDではリカバリ時のピーク電流が大きく、 リンギングが発生しノイズによる誤動作などの悪影響が懸念されるといった課題がある。 これらの課題を解決できるデバイスとしてSiCが挙げられるが、Si デバイスとの価格差はまだまだ大きく、現在の市場ではSi デバイスの使用が主流である。 Si デバイスにてこれらの課題を解決するために、素子構造に低濃度アノードおよび粒子線照射によるキラーを用いることで、 リカバリ時のピーク電流を小さくすると共に、リンギングの発生も抑制できた。 今回、高周波整流用途としてスイッチング特性に優れた低ノイズFRD、XRシリーズを開発した。
9 車載用途 絶縁型電源IC SFA0006の開発 田畠 鉄哉
早川 章
古賀 竜彦
李 殷錫
EV/HEV/PHVなどの環境対応車両に搭載される、低電圧入力かつ絶縁型の電源構築に最適なスイッチング電源IC SFA0006を開発した。 本ICでは、出力電圧をトランスの1次側巻線電圧で検出することにより、制御用フォトカプラや3 次巻線などの周辺部品が削減でき、電源の小型化を可能にした。 また、ランダムスイッチング機能によるノイズ低減だけではなく、イネーブル機能、周波数低減機能を盛り込むことにより、電源待機時の低電流化や高効率化も可能にしている。 本報告ではSFA0006の特長、およびSFA0006で電源システムを構築したときの特性について紹介する。
10 ヒューマンインターフェース付電源内蔵照明モジュールの開発 田仲 晋作
大聖寺 秀文
LED照明は近年、成長期から成熟期へ移り変わり、光の質やデザイン性、特殊用途への要求が多様になってきた。 今回、当社独自の位相制御技術を用いたACダイレクト方式を開発した。 本方式により、小型・薄型、超低ノイズ、フリッカレスの特徴を有する電源内蔵照明モジュールを実現した。 本照明モジュールは、光源を目立たなくする、狭い場所に配置するなど、光の高品質化やデザイン性を提供することが可能である。 さらにセンサースイッチ機能を備えることで、例えば、棚板等を介し外部から見えないスイッチによるオン/オフも可能となり、 デザイン性あるヒューマンインターフェースを提供することが可能である。
11 汎用電源 SWJシリーズ 宮原 隆浩
真尾 祥幸
産業機器、ロボット、通信など当社汎用電源は幅広く使用されている。今回紹介する汎用電源SWJ シリーズは新しく提案できる性能を持った新製品である。 パワーとサイズの両面からお客様にあったものを提案できるため、さらに活用の幅を広げることができる。 カスタム電源で培った技術を最大限に発揮した製品をご確認いただきたい。
12 実使用環境にあわせたパワー半導体の設計手法 島尾 敏裕
パワー半導体の寿命は素子内の温度変化に依存するため、電力変換器の負荷状況、周囲温度などの使用環境によって大きく変化する。 したがって、従来の設計手法ではマージンを大きくとることで寿命を保証しており、小型化を妨げる傾向にあった。 そこで、本稿では実際の温度変化を考慮したパワー半導体の寿命計算手法およびそれを応用した設計手法について提案する。 一例として太陽光発電用マイクロインバータのパワー半導体素子設計に適用した。 マイクロインバータ特有の環境条件である平均温度Tjmおよび温度変化幅ΔTj を考慮してシミュレーションにより寿命を推定し、 その結果から期待寿命に対するパワー半導体と放熱器の最適化を行ったので報告する。
13 屋外設置対応の小型UPSの開発 Huynh Dang Minh
石井 結記
平野 博之
屋外で使用される道路・河川用監視カメラ(CCTV)・流量監視、防犯、防災システムなどに使用可能なUPSとして、新たな屋外用小型UPSを開発した。 今回の開発では、UPSの筺体をモジュール式で設計したため、従来の「電源箱」デザインと比べ、施工性・拡張性がより高い。 さらに、リチウムイオン蓄電池(LiB)を使用することで、メンテナンスフリー、長寿命、長時間バックアップ可能等の利点から、 監視カメラおよび通信市場に限らず、公共設備用の電源など多様なニーズへの対応が可能となっている。

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